Android搭載のソニーウォークマンNW-ZX707を買ったのでレビューするよ

2023年1月に発売となったウォークマンの最新機種NW-ZX707を購入しました。同時発売されたNW-A300シリーズの上位機種となり、お値段はそれなりにしたのですが少し使ってみて大満足しています。

そんなNW-ZX707の商品レビューやサウンドチェックを行いましたので記事にいたします。この記事をご覧になるとNW-ZX707の基本的な使い方やコツ、NW-A300シリーズとの違い、サウンドの傾向などが分かります。

また、特に普段はiPhoneしか使っていない人は、Android端末である当機の設定に困っているのではないかとも思いますので、操作方法などもご紹介します。

目次

なぜNW-ZX707を選んだか。NW-A300や旧機種型落ちを買わなかった理由

2023年1月27日に、NW-A100シリーズからNW-A300シリーズへ、そしてNW-ZX507からNW-ZX707へモデルチェンジしました。筆者はNW-ZX707を選びました。

すでに新型ウォークマンが欲しい病にかかっている人は悩んでいると思います。NW-A306/307とNW-ZX707のどちらがいいのだろうと。もしくは買換えは止めようかと。少なくとも普通に考えてNW-ZX707はハイレゾ対応オーディオプレーヤーとして音は良いはずだけど、A300シリーズとのお値段の差額に見合うかが気になるはずです。

NW-A300シリーズとNW-ZX707で主な共通点は次の通りです。

・Android12を搭載していて、Amazonミュージックなどのストリーミングサブスクが使える。
・Wi-Fiテザリングしたスマホと併用すれば外でもAmazonミュージックなどが楽しめる。
ストリーミングサービスでもDSEE Ultimateを使えるようになった。【UP!】
・Bluetoothはハイレゾでほぼ無劣化のLDACに対応。
PCに接続してUSB DAC機能が使えるようになった。【UP!】
・アナログアンプをシミュレートする「DCフェーズリニアライザー」、アナログレコード音質を再現する「バイナルプロセッサー」を搭載するようになった。【UP!】
前世代機種よりも電池の持ちが良くなった。【UP!】
・旧機種のような専用ケーブルは不要で、USB-Cケーブルを使える。

※【UP!】とあるものはそれぞれの前世代機種より向上または追加したものです。

特に、CD音質をハイレゾ相当へアップコンバートするDSEE Ultimateがソースを選ばなくなったのは画期的です。AppleミュージックやAmazonミュージック、さらにYoutubeやNetflixなどもハイレゾ相当で楽しめるようになりました。これだけで買い換える価値はあると思います。

次に、NW-A300シリーズとNW-ZX707をざっくり比べます。NW-ZX707が優れている点です。

・ハイレゾ再生対応の高性能フルデジタルアンプ「S-Master HX」を搭載。
・最大11.2MHzのDSDネイティブ再生(NW-A300シリーズはLPCMへの変換再生)
・最大384kHz/32bitに対応(NW-A300シリーズは352.8 kHz以上はダウンコンバート再生)
・4.4mmバランスイヤホンが使える。
・画面が大きい(NW-ZX707は5型、NW-A300シリーズは3.6型)

逆に、NW-ZX707よりNW-A300シリーズの方が優れているところと言えば次の通りです。

・電池の持ちが良い(最大、NW-ZX707は25時間、NW-A300シリーズは36時間)
・価格が安い
・サイズが小さく、軽量である(最大、NW-ZX707は約227g、NW-A300シリーズは約113g)
※参考までに、iPhone13は173g、iPhone13 miniは140g、iPhone13 Pro Maxは238gです。

以上から、NW-A300シリーズでは「内蔵アンプを使わず、LDAC対応のワイヤレスBluetoothイヤホンを主に使うライトユーザー向け」としては大変優秀であり、機能不足や不便はないだろうと判断しました。そのような使い方が多い人はA300シリーズもぜんぜん悪くないと思います。ちなみにA306とA307の違いは、内蔵メモリーが32GBか64GBか違いだけです。

しかし、私は「有線イヤホンで可能な限り高音質で聴きたい」「動画も高音質で、できれば大きい画面で楽しみたい」という理由からNW-ZX707を選びました。しがないサラリーマンには高かったけど、5年は使うつもりでいますので1年あたりで割れば気にならないからです。

ソニーのAndroidウォークマンNW-ZX707の商品レビュー

あらためて筆者が購入してしまったNW-ZX707はこちら。買って良かった。

わが家へ着弾したNW-ZX707ちゃんがこちら。楽天ポイントが貯まっていたのでeイヤホンさんで購入しました。

値段的にはAmazonでも楽天でもほぼ変わらない

値段的にはAmazonでも楽天でもほぼ変わらない

キタコレ。

初めてハイクラスDAPを手に入れて喜びが隠せない

初めてハイクラスDAPを手に入れて喜びが隠せない

気合いを入れて久しぶりに撮影ボックスを使ってく。同梱内容はシンプルで、NW-ZX707本体とUSB-Cケーブル(USB2.0)のみ。最近のスマホ同様に充電器は付いてません。保護フィルムも別売りです。家電量販店だと高いからネットで買うといいですね。

USBケーブルはいらないから保護フィルムを付けて欲しい

USBケーブルはいらないから保護フィルムを付けて欲しい

あとは取説と使用上の注意、保証書、サポート登録用紙くらいです。

ネットで購入した人は、購入ページのPDFなどを一緒に保管しておくといいよ

ネットで購入した人は、購入ページのPDFなどを一緒に保管しておくといいよ

本体右側から。右から、電源ボタン、音量UP/DOWNボタン、スキップボタン、再生/一次停止ボタン、リバースボタン、スライドロックです。

よく見るとボタンのサイズと間隔が違う。ヨコからみてもかっこいい

よく見るとボタンのサイズと間隔が違う。ヨコからみてもかっこいい

本体上には、右から4.4mmバランス入力、3.5mmアンバランス入力。

付属のキャップはなくしがちなので、元箱に保管しておくスタイル

付属のキャップはなくしがちなので、元箱に保管しておくスタイル

本体下には、右からストラップ用フック、USB-Cポート。中央にはマスクしていますが7桁の製造番号が書かれています。ちなみにNW-ZX707の正式なモデル型番はYY130282です。

シンメトリーデザインなので、たまにUSB-Cポートがどちらか分からなくなる人はいませんか

シンメトリーデザインなので、たまにUSB-Cポートがどちらか分からなくなる人はいませんか

本体左側には、microSDスロットのみ。

防水に配慮しているのか、microSDスロットはわりと開けにくい

防水に配慮しているのか、microSDスロットはわりと開けにくい

一緒に純正のレザーケースCKL-NWZX700を買ったのさ。純正にこだわらない人は、社外品ケースをAmazonで買うのがいいと思います。

ストラップも付属しています。

新品の時からケースに入れておけば傷が付かないですね

新品の時からケースに入れておけば傷が付かないですね

革の張り方があまりにキレイすぎて人工革かと疑ったけど、本革だそうです。使っているうちに味が出るのかな。本当はブラウンがあれば欲しかった

ソニーはこの高い技術力を用いて革の財布とかカバンを作って売ったら流行ると思う

ソニーはこの高い技術力を用いて革の財布とかカバンを作って売ったら流行ると思う

専用ケースと言うだけあって、しっかりした作りで安心しました。

ピンボケですまん

ピンボケですまん

本体に入れるとジャストフィット。

めっちゃいいよ、これ

めっちゃいいよ、これ

純正の専用ケースだけあって、使い勝手に全く不便はありません。しかしNW-ZX707本体をケースに入れるとき、ケースが堅くて傷つけずに収納できるか心配しました。実際にはその後何度か出し入れしましたが問題ありませんでした。これくらい強固だとケースごと落下して本体がぶっ飛ぶ心配はなさそうです。

この純正レザーケースについては、詳しい記事を別に書きました。

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ソニーのAndroidウォークマンNW-ZX707の初期設定

買ったばかりのNW-ZX707は60%ほど充電済みだったので初期設定を行いたいと思います。起動するとソニーのロゴの後にウォークマンのロゴが表示します。

ドキドキ・・・

ドキドキ・・・

普通にAndroidのようこそ画面が開きました。早い話、途中まではスマホと一緒です。普段iPhoneだけを利用していてAndroidは初めてという方のための記事は後ほど書きたいと思います。

Androidなので初期設定にはGoogleアカウント(無料)が必要です。持っていない人は設定中に取得が可能です

Androidなので初期設定にはGoogleアカウント(無料)が必要です。持っていない人は設定中に取得が可能です

設定後に再起動するとこうなります。ウォークマンを使い慣れた方にはどうってことありませんが、私からすると感動。パラメータアイコン、ウォークマンのロゴアイコン、ヘッドホンアイコンが並んでいますので見ていきます。

ウォークマンとして利用するためのアプリは全てインストールされている。ほかはGoogle関連アプリくらいしかプリインストールされてない

ウォークマンとして利用するためのアプリは全てインストールされている。ほかはGoogle関連アプリくらいしかプリインストールされてない

ヘッドホンアイコンから開くと、Headphones Connectの更新画面が開きます。これはソニーのワイヤレスBluetoothイヤホン/ヘッドホンなどをコントロールするアプリです。私はいずれも所有していないのでスルーします。

ウォークマンのロゴアイコンを開くと、純正のミュージックプレイヤーアプリ「W.ミュージック」が起動します。機能は普通ですが、タップするアイコン同士が離れていて誤タッチが少なそうな印象でした。

何曲かサンプル楽曲データが入っているのでサウンドチェックくらいならすぐできる

何曲かサンプル楽曲データが入っているのでサウンドチェックくらいならすぐできる

パラメータアイコンは「音質設定アプリ」というらしく、イコライザーやDSDマスタリング、DSEE Ultimateの設定ができます。デフォルトではソースダイレクトがオンになっているのでイコライザーなどを設定できません。「DIRECT」の隣にあるスイッチをオフにすると可能となります。詳しい設定方法はまた別の記事でご紹介しますね。

「ソースダイレクトをオフにしないと音質設定ができない」というのはオーディオ好きなら常識だけど、普通は分かりにくいよね?

「ソースダイレクトをオフにしないと音質設定ができない」というのはオーディオ好きなら常識だけど、普通は分かりにくいよね?

ちなみに初期設定を終えたばかりのNW-ZX707の使用済み容量は64GB中15GBでした。つまり空きは50GB近くあることになりますが、アップデートなどを安定して使うためには空き容量を最低20GB以上は確保しておきたいもの。音楽データは別売りのmicroSDカードに入れて、本体のストレージには基本的に入れないようにした方がいいと思います。

基本的に楽曲データや動画データはmicroSDカードに入れて、それ以外を本体に保存するほうがよさそう

基本的に楽曲データや動画データはmicroSDカードに入れて、それ以外を本体に保存するほうがよさそう

その他、色々と操作をした感想としては、NW-ZX707はDAPのわりに動作がさくさくしていると感じました。NW-ZX707は、2年ほど前のミドルクラススマホ(Xperia 10 IIなど)で使われていたSoC(CPUなど)QualcommのSnapdragon665を搭載しているおかげでしょうか。スナドラ400番台かと思っていました。

今回、microSDカードも一緒に購入しました。私はCDからリッピングした音源を少し入れるくらいなので256GBにしましたが、moraあたりからハイレゾ音源を購入して保存するなら512GBクラスをオススメします。

 

初期設定ではNW-ZX707やNW-A300でハイレゾストリーミング音源が聴けない?

NW-ZX707はハイレゾストリーミング音源にも対応していますが、デフォルト(標準)では無効になっています。本章ではハイレゾストリーミングの設定方法をご紹介します。

ハイレゾストリーミングは前機種ZX507にない大きなアドバンテージです。ハイレゾ音源を購入するお金のない私は、もっぱらAmazonミュージックHDを利用していて、サウンドチェックについては後半ご紹介しますが、実際に聴いてみました。

・・・あれ?2万円そこらのハイレゾBluetooth DACより音が悪いぞ?てかこれハイレゾではない?

怪しく思ってAmazonミュージックの楽曲再生画面にある「HD」をタップして音質を確認しました。そうしたら楽曲自体の品質は24bit/96KHzなのにデバイス(つまり再生品質)は24bit/48KHzとなっています。せっかくのハイレゾ音源がほぼCD音質になってます。あれ?

設定不足により、せっかくのハイレゾストリーミングがダウンコンバートされてしまってる

設定不足により、せっかくのハイレゾストリーミングがダウンコンバートされてしまってる

Amazonミュージック側では、SD音質(つまりCD音質)かHD音質(ハイレゾ)しか選べないことから、この原因はプレイヤー側であるNW-ZX707にあると分かりました。

NW-ZX707、すなわちAndroidにはiPhone同様に「設定」アプリがあるので開きます。画面下から上にスワイプすると歯車アイコンが出ますのでタップします。

iPhoneでも「設定」がありますが、同じイメージです

iPhoneでも「設定」がありますが、同じイメージです

「設定」の中にある「音」をタップします。

Android OSの設定画面の中に、ウォークマンとしての設定箇所も混ざっているのがスゴいというか、慣れないと分からないだろうというか

Android OSの設定画面の中に、ウォークマンとしての設定箇所も混ざっているのがスゴいというか、慣れないと分からないだろうというか

「ハイレゾストリーミング」がOFFになっているのが分かります。これだとストリーミングは非ハイレゾでの再生しかできません。

ハイレゾストリーミングの設定を行った後は再起動が必要になる

ハイレゾストリーミングの設定を行った後は再起動が必要になる

「ハイレゾストリーミングの使用」のスイッチを右に動かしてONにします。「バッテリーの消耗やパケット消費が増えるけどええんか?よければ再起動したら設定完了やで?」と確認画面が出るのでOKとして再起動。

再度、同じAmazonミュージックの楽曲を聴いてみると、もう音質は天と地の違い。同様に再生品質を見るとデバイスも24bit/96KHzになっています。

NW-ZX707でハイレゾストリーミングをハイレゾで聴けるようになった

NW-ZX707でハイレゾストリーミングをハイレゾで聴けるようになった

Androidウォークマンへ音楽データを転送する方法

CDからパソコンへ取り込んだ音楽データをAndroidウォークマンへする方法です。ソニー純正で「Music Center for PC」というアプリケーションがあるようですが、どうせ未だに不安定なんだろ?と決めつけて1ミリも使ってません。暇だったらレビューしますけど。

Windows10/11パソコンに保存してある音楽データをAndroidウォークマンへコピーする場合は、パソコンとAndroidウォークマンをUSBケーブルでつなぎます。

「ファイル転送」を選択することでAndroidが接続先のパソコンを信頼してデータ交換できるようになる

「ファイル転送」を選択することでAndroidが接続先のパソコンを信頼してデータ交換できるようになる

パソコン上にウォークマンが現れるのでこちらを開いて、パソコンにある音楽データをドラッグ&ドロップします。

Macの場合は、USBケーブルでMacとつないだだけではMac上に表示されません。Google製アプリ「Android File Transfer」を事前にAndroidウォークマン側へインストールしておき、あとはWindowsと同様に行います。音楽データ自体でもいいし、Macの「Apple Music App」からも、ミュージックライブラリーからドラッグ&ドロップすることもできます。

最後に大事な手順があります。Windows/Macいずれの場合でも同様ですが、音楽データをAndroidウォークマンへコピーしただけでは再生できません。W.ミュージックがコピーされたデータを認識して表示出来るようにしなければなりません。

そのためには、W.ミュージックを起動したら右上の点が3つ並んでいる部分をタップして「設定」をタップして、「データベース再構築」を行います。

コピーされた楽曲がW.ミュージックで聴けるようになります。ちなみにiPhone用に貯めたAppleロスレスエンコード(ALAC)の音楽データファイルもウォークマンで再生することが可能です。

 

ソニーのAndroidウォークマンNW-ZX707のサウンドレビュー

お待たせしました。気になるNW-ZX707の音質についてふれたいと思います。オーディオライターさんのようにうまく書けませんけどね。

デジタルオーディオプレーヤーもイヤホンやヘッドホンと同様にエージングが必要と言われています。製造したばかりでは本来の音質を出せないので、カラ再生をしばらくさせて慣らし運転するのをエージングと言います。以前、ウォークマンでは100時間のエージングが推奨されている、なんて記事を見たことがありますが、いったんは買ってすぐの音をチェックしていきます。

3.5mmイヤホンとして、筆者の超絶お気に入りなアンダー5,000円イヤホンのfinal E-3000Cと、少し古いですが4万円ほどで買った4BAドライバの名機オーディオテクニカ ATH-IM04。そして10万円クラスのゼンハイザー IE-800Sです。ヘッドホンからは密閉型モニターヘッドホン オーディオテクニカ ATH-M70xを使用しました。

4.4mmイヤホンとしてはゼンハイザー IE-800Sを使用しました。IE-800Sは個性的な音作りではありますが高価格帯らしい音を出してくれるので期待です。

音源は、CDから取り込んだALAC音源(Appleロスレス)、Amazonミュージックです。ジャンルは女性ボーカルを中心に、男性ボーカル、ジャズ、クラシック、フュージョン系などを適当にミックスしました。

まずはミニマム構成として、final E-3000C & ALAC音源です。aikoが好きなのでいつもリファレンスで聴く曲があったりしますが・・・

あらら。すごいね・・・いや。すごいや。こりゃこのくらいの値段するわ・・・

もはや語彙力が崩壊します。買ったばかりだと音が悪いなんて言ったやつ誰だ?これ以上良くなるってことか?(編注:なりました)

とても分かりやすいのが、ドライブ能力、音の伸び、そして左右のチャンネルセパレーションと定位・距離が激しく良いことです。

これはDSEE Ultimateをオンにする→ハイレゾ音源に変えることで、さらに劇的に良くなります。

聞き込んでいるうちに、さすがにアンダー5,000円のfinal E-3000Cでは力不足が否めなく感じ、ATH-IM04に変更したら、イヤになるくらい素晴らしい。

日頃からオーディオコーナーで試聴していますが、自宅で落ち着いて使用するのはPioneer XDP-20やQudelix-5K Bluetooth USB DAC、FiiO BTR3Kあたりな私。どちらかというとイヤホンやヘッドホンにコストをかけて再生側はコスパ重視でやってきました。エントリークラスの再生環境に耳が慣れていたのでしょう。

しかし、格が違う。もうぜんぜん違う。このまま聴き入ってしまってレビューができないというレベル。
・・・では記事にならないのでいくつか。

まずは音色から。私は低価格でも解像度感を感じられるESSチップ搭載DAC/DAPを好んで使っていましたが、これらの難点は音が細く感じられること。しかし、XZ707の音質は高解像度感とともに、音の「芯」と「量感」を感じられます。そう「量感はあるのに芯もあって繊細」で情報量の豊かな印象です。これは明らかに高級オーディオ志向のサウンド。あるいは良質なAKチップ搭載DAC/DAPを思わせる感覚です。

次にドライブ能力。3.5mmシングルエンドにおけるイヤホン出力は、NW-ZX707では50mW+50mW(16Ω・ハイゲイン出力時)で、「高インピーダンスのイヤホンがドライブできない」と言われていたZX507と同じです。もっと言えば、わが愛機の一つであるPioneer XDP-20の75mW+75mW(32Ω)にも数値上は劣っています。

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しかし、他DAP/DACでのハイゲイン出力以上の音圧と伸びを感じ、比較的低能率なE-3000CやATH-M70xが元気にドライブしています。全音域において正しく音圧を感じることができ、高音も薄くならず伸びとヌケ、なめらかさを感じます。埋もれがちな中低域も自然で、低音はしっかり堅く歯切れ良くなりました。その一方でノイズ感は特に感じられません。

次に、左右の分離と、音そのものの分離が明確となり音場が広く感じられます。ボーカルは正しく正面から聞こえ、楽器は位置だけでなく距離を感じられるようになりました。このため音場は格段に広くなったのに楽器編成が明瞭となり、没入感が抜群に良くなりました。

わざとらしい高分解能ではなく、全ての音がはっきりクッキリしています。それでいて心地よい音場が存在します。これは良い意味でのソニーサウンドを感じられます。

CD音質をハイレゾ相当へアップコンバートするDSEE Ultimateの効果も絶大です。DSEE Ultimateをかけていない音も素晴らしいのですが、そうでない音は比べるとカドがあり、いかにも「デジタル音声だよね」というくらい違いが分かります。これがダウンロード済み音楽データだけでなく、ストリーミングサービスで使えるとなると「かなりヤバい」としか表現できません。

その後、試しに2日ほどエージングを試してみました。その結果は「化ける」ほどの印象はありません。エージングで音が別物のように良くなる機器やイヤホンがあるのですが、そうではありませんでした。なぜなら最初から良かったから。

しかし2日前には気付かなかっただけなのか分かりませんが、「音の余韻」がとても素晴らしいことに気付きました。良質なアンプと電源によりドライブ力と制動力が優秀なのだと思います。

全ての音が発生してから消えゆく余韻が、とても楽器的というか空気感をリアル以上に感じさせてくれます。例えるなら良質な料理やお酒にあるような「後味」がたまらないのです。

そしてカドがなく、かつ艶やかな自然さが増したように感じました。あたかも「音が目の前にある」という錯覚を覚えるほどです。これはCD音源ならDSEE Ultimateをオンにしたとき、またはハイレゾ音源で顕著でした。

持ち前の艶やかさと余韻。これは是非、久石譲「Piano Stories Best ’88-’08」あたりをDSEE Ultimateで聴いてみて欲しいです。葉加瀬太郎の「ひまわり」もオススメです。

そうそう。ゼンハイザー IE-800Sを4.4mmバランスで聴いてみました。ある意味、女性ボーカル曲の声に特化した特殊なイヤホンではありますが、3.5mmよりも音の存在と静粛さが向上していることを確認できました。しかしこのイヤホンは相性はよくないかもしれない。聴いていて疲れます。新しい4.4mmイヤホンを買ったら再レビューしますね。

もう、これ以上のゴタクは不要と思います。「ハマる、この沼音」というキャッチコピーに間違いはありませんでした。是非試して欲しいです。

あと、電池の持ちについてですが、一度80%くらいに充電してちょっと聴いては置いておいてを繰り返してもあまり電池が減っていません。スリープ中の電池消耗はあまり気にしなくて良さそうです。

再生時間はきちんと計っていませんが公式スペックよりは当然短いですね。音質設定や再生ソースにもよりますからなんとも言えませんが特に短い印象はありません。普段使いで週2回くらい充電すればいいのかな?ってレベルでした。

まとめ

ここ数年間、Androidウォークマンが欲しくてたまらなかった筆者が、発売日にNW-ZX707を買ってみたので商品レビューと初期設定、ハイレゾ設定、そしてサウンドレビューをご紹介しました。

また旧機種や下位のA300シリーズではなくNW-ZX707を選んだ理由を特徴比較から述べました。

USB DACアンプなどと非同期方式によるデジタル接続ができたり、USB-DACとしても使えるなど今回紹介しきれなかったことはまた別の機会にご紹介したいと思います。

NW-ZX707は約20〜40万円超えのNW-WM1シリーズのパーツや設計思想を継承したというふれこみ通り、音質にはこれ以上求めるべくもないほどのものでした。音楽ジャンルも選ばず、アニソンからクラシックまで、とにかく音楽がもう一度楽しくなることでしょう。

また使い勝手も問題なくAndroidアプリも使えるので、なんでも高音質にできるので楽しみが増えました。

来週あたり、仕事と家庭が落ち着いたら居酒屋に行って、こいつで好きな映画を観ながら一人呑みするんだ。ぜったい。

それでは本日ご紹介したアイテムを振り返ります。

 

以上、最後までご覧くださりありがとうございました。

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