スマホをゲームや外出先&移動中の音楽鑑賞に使う人が圧倒的に増えてます。
「スマホでの写真加工などは詳しいけど、オーディオ機能は詳しくない」という方が意外と多いようです。先日も当ブログの購読者様からご意見をいただきました。普段はそれでよくても、スマホゲームをやるとき、好きなアーティストの音楽や動画をより楽しみたいときに不便が生じているようです。
この記事では、そんなスマホオーディオ初心者さんへ向けて、問題や疑問に対する解決方法をご紹介していきたいと思います。
そんな主旨ですからおおざっぱにQ&A形式で書きます。
iPhone・iPad・Androidスマホのオーディオ関連Q&Aを勝手にやってみる
iOS/iPadOS/Android問わずスマホやタブレットでの「音」に関して書いていきたいと思いますが、あらためてオニオン座管理人がこれらを語るに値するか、簡単にスマホ関連の業務経験をご紹介します。
・光○信系の会社でキャンペーン販売やHITSHOP、キャッチセールス、法人営業、エリア支店長を担当
・複数社の社内情シスとしてのべ数百台のスマホの管理、故障対応、キャリア折衝担当
・中古スマホ販売会社(上場企業)の中古スマホの仕入れ・販売、ECディレクター、マーケティングを担当
・複数社のWEBシステム開発会社にて多数のスマホを検証端末として取扱い
以上により、その辺の人とは比べものにならないくらいスマホと触れた数と案件数は多いとは思います。ちなみに個人的にはメインスマホはAndroid、サブでiPhoneの両刀使いでiPad ProやAndroidタブも使ってます。
オーディオスキルについては資格はありませんが、小学生の頃からオーディオ売り場に入り浸り、足かけ数十年はハマっていまして、音楽業界で働いたり、ライブでPA(ミキサーさんね)をやったくらいには詳しいつもりです。
以下本題では、分かりやすいようなるべくYES/NOで書いていますがもちろん例外はあります。クレーム等は頂きたくないので、あくまで参考としてご覧下さい。ではまいります。
iPhone・iPad・Androidスマホのオーディオ関連Q&A<基本編>
イヤホンジャックがないスマホでは、内蔵スピーカー以外にどうやって音を聴けばいいの?
大きくは次の3つが挙げられる。
1.イヤホンジャックアダプタを使用する
アップルデバイスではLightningポートに接続するイヤホンアダプタがある。またUSB Type-Cポートでも同様のアダプタがある。これをスマホへ指すことで従来の有線イヤホンやオーディオケーブルにつなぐことができる。
2.Bluetoothによる無線転送を利用する
BluetoothイヤホンやBluetoothスピーカーへ無線で接続する。Bluetoothで音を扱う機器は必ず「SBCコーデック」に対応していることから、スマホOSや接続先のBluetooth機器が異なっていても音を出すことは可能である。
ただし音質の違いは「対応コーデック」に依存し、送信側・受信側の両方がそのコーデックに対応している必要がある。
3.Wi-Fiによる無線転送を利用する
アップルデバイスであればAirPlay、AndroidではGoogle Cast(ChromeCast)というように、同じネットワーク内にあるWi-Fiにて画面と音声を飛ばす方法をスマホは標準的に備えている。これらに対応するテレビやAVアンプ、AmazonFireStickなどのドングルがあれば音だけでなく動画も転送することが可能である。
★参考記事★
【イヤホンジャックアダプタレビュー】iPad Pro 11/12.9ではUSB TYPE-Cをイヤホンジャックに変換するケーブルが必要な件
https://www.onion-za.jp/ipad-pro-usb-type-c-with-earphone/
【Wi-Fiによる無線転送レビュー】Amazon Fire TV Stick 4KでiPhone・Androidスマホ・パソコンのミラーリングが簡単すぎるので設定方法をレビューするよ
https://www.onion-za.jp/amazon-fire-tv-stick-4k-iphone-mirroring/
イヤホンジャックがないスマホでイヤホンジャックアダプタを使ったら充電できないの?
アダプタを用意すれば可能。
物理通信ポートが一つしか無いiPhone/iPad/Androidスマホでは、通常のイヤホンジャックアダプタを使ったら充電ケーブルが差し込めないことになる。Qi規格のワイヤレス充電器を使うことはできるが、音にノイズが乗ったり影響がでることがあるし、持ち歩けない。
そのような場合はこうした二股のイヤホンジャックアダプタを使うといい。アップル純正品は存在しないので社外品をネットで購入することとなる。
★参考記事★
iPad ProやiPad mini 6でイヤホンを使いながら充電する方法は、便利なUSB Type-Cアダプターやハブを使うべしhttps://www.onion-za.jp/ipad-pro-with-wired-earphone/
iPhone・iPad・Androidスマホ、どっちの方が音が良いの?
上位機種では大差ないが、ややAndroidスマホに軍配。
基本的にハードウェアとしては高価な機種の方が音が良いが、アップルデバイスは安定していてエントリー端末でも普通に聴く分には不都合のない音質を担保している。しかし高価なAndroidスマホでは音質に配慮したものがあるため、イヤホンを直刺しした場合「高価なAndroid>iOS/iPadOS機>安価なAndroid」となることが多い(当社比)。
ただしBluetoothを使った場合は話が変わる。コーデックという音声を圧縮して無線で飛ばす方法の種類があるが、アップルデバイスで最も高音質なコーデックはAAC。一方、Androidスマホ(一部除く)では、LDACやAptX-HDなどの高音質コーデックに対応している。
したがってBluetoothで聴くなら、アップルデバイスよりもAndroidスマホの方が音が良いと言える。なお内蔵スピーカーではiPad Proが異常に高音質なので一度聴いてもらいたい。
スマホ・タブレットのオーディオ関連FAQ<応用編>
Androidスマホで使っていたUSB-CイヤホンジャックアダプタはiPad Proでも使えるの?
使えないものがある。iPad ProなどではUSB-Cポートからアナログ音声信号は出力できずデジタルで出力する。純正アダプタや一部社外品ではD/Aコンバータチップを内蔵することで解決しているが、Androidスマホ用として売られている同種製品にはD/Aコンバータチップ(DAC)を内蔵していないことがある。目安として1本500円以下で売られているものはDAC非搭載と思った方がよい。
★参考記事★
iPad Pro 11/12.9ではUSB TYPE-Cをイヤホンジャックに変換するケーブルが必要な件
https://www.onion-za.jp/ipad-pro-usb-type-c-with-earphone/
アップル純正のUSB-CイヤホンジャックアダプタはAndroidスマホでも使えるの?
基本的に使える。アップル純正品や一部社外品はDAC搭載となるが、DACが必要でないAndroidスマホでも基本的に使える。
スマホを使って外出先で有線イヤホン/ヘッドホンをより高音質で聴く方法
1.有線DACを接続して有線イヤホン/ヘッドホンをつなぐ
LightningやUSB Type-Cポートへつなぐイヤホンジャックアダプタがあるが、これの高音質版と考えれば分かりやすい。
一般的なイヤホンジャックアダプタは低価格で小型(ミニケーブルサイズ)だが、有線DACはやや大きい(または太い)。しかしデジタルをアナログへ変換するD/Aコンバータが左右独立で2つ入っているなど音質向上に配慮している。
デメリットとしてはスマホの電池の持ちがやや落ちること、有線である不便さ、以上の2点となる。
2.無線DACをBluetooth接続して有線イヤホン/ヘッドホンをつなぐ
ものにもよるがマッチ箱程度の本体にイヤホンジャックがあるのが無線DAC。スマホとはBluetoothで通信する。
スマホと物理的につながっていないのでバッテリーを内蔵している。
有線イヤホンなどを無線化することが可能となる。デメリットはバッテリーの充電が必要なこと。
ちなみにオニオン座管理人は古くなったスマホを小型デジタルアンプに接続して、自宅でのBGM再生に使用している。https://www.onion-za.jp/types-of-amplifiers-used-in-desktop-audio/
★参考記事★
【有線DACレビュー】ラディウスのイヤホンジャックアダプタ型USB-DAC「radius RK-DA50c」を買ったのでレビューするよ
https://www.onion-za.jp/usb-dac-radius-rk-da5c-review/
【無線DACレビュー】Bluetooth対応USB-DACアンプ「FiiO フィーオ BTR3K」を買ったのでレビューしますね
https://www.onion-za.jp/bluetooth-usb-dac-review-fiio-btr3k/
【無線DACレビュー】BluetoothワイヤレスUSB-DAC「Qudelix-5K」が一台あれば、もうワイヤレスイヤホンはいらないってほどのレビュー話
https://www.onion-za.jp/bluetoothdac-qudelix5k-review/
iPhone・iPadでハイレゾ音源を再生できるの?
できる。ただし対応したのがiOS 14.6以降のOSであり後発なこと、アップルが意外と力を入れていない(アップルミュージックのため仕方なく?)ことなどから、Androidスマホと比較すると成約が多い。
※アップルデバイスはPCM音源でのみハイレゾ対応している。DSD音源には対応していない。
ハイレゾ音源の定義を簡単に言うと、CDやDVDよりも高音がでること。CD(サンプリング周波数44.1KHz)はスペック上限の高音が20KHz。対して例えば40KHzの高音を出せる音声データをハイレゾ音源と言う。対してbit(ビット・量子化ビット数)は音の高低ではなく時間軸に影響する。難しくなるので詳細割愛するがCDなどは16bitであり、これが24bitなどになると「ハイレゾ」扱いとなる。
アップルデバイスではOS側の制約から、48KHz/24bitの「ロスレス」が上限だったが、最近では192KHz/24bit「ハイレゾロスレス」に対応した。これが使えるのはAppleミュージックとAmazonミュージックUnlimitedだけとなる(執筆時点)。
さらにアップルデバイスにて192KHz/24bitのハイレゾ音源を聴くには以下を留意いただくこととなる。
・OSバージョンがiOS 14.6以降であること。
・有線接続の外付けDACが必須。iPhoneならLightningケーブルが使えるものに限る。
・設定変更が必要(ミュージック→オーディオの品質→ロスレスオーディオをON→ストリーミングやダウンロードの音質設定変更)
・ハイレゾ音源に対応したアプリをインストールすること。
・Bluetooth接続ではハイレゾロスレスで聴けない(主にBluetoothコーデックの都合)
・192KHz/24bitでは1曲で150MB前後と大容量なためパケ死注意
なお、iPhoneなどではAppleミュージックとの相性が良いと言われるが、Amazon Music Unlimitedも無料期間を設けているので実際に可能か試して欲しい
Apple MusicのAACファイル・ロスレスオーディオ・ハイレゾロスレスの違いは?
Apple Musicでは次の3種類が定められており、それぞれ音質やデータ量が異なる。
標準音質
AAC(Advanced Audio Coding)といわれる音源データフォーマットです。非可逆圧縮を採用しているのでデータが軽く、大昔から有るmp3などよりは高音質なため標準的に使われている。
非可逆圧縮の音源データとは、音源を圧縮する際に間引きも行うので、聴く際に元に戻す(展開・解凍)と音質が落ちる、つまりロスが生じるものとなる。人間の聴感にはなるべく影響しないよう工夫しているが最高音質とは言いがたいものといえる。
ロスレスオーディオ
ハイレゾ音源じゃないけど音は音源に忠実だよ、というもの。
音源を圧縮しないか、間引きをせずに圧縮する「可逆圧縮」を用いる。間引きをせずに圧縮すれば元に戻したときに欠損(ロス)がないことからロスレスという。ファイル形式はFLACやALAC(Apple Lossless エンコード)が挙げられる。
メリットは音が良い(音源を劣化させない)こと。デメリットはデータ量がAACなどより大きいのがデメリット。ちなみにAppleの定義上、サンプリング周波数が48kHzまでの音源を「ロスレスオーディオ」としている。
ハイレゾロスレス
ロスレスオーディオ同様、音源を圧縮しないか、間引きをせずに圧縮する「可逆圧縮」を用いる。かつ、サンプリング周波数が48kHzを超える音源を「ハイレゾロスレス」としている。高分解能で最も高音質と言えるが1曲で150MB前後と大容量なためWi-Fi環境で利用したい。
iPhoneで聴いていた音楽データをAndroidで聴いたり、Androidで聴いていた音楽データをiPhoneで聴いたりすることは可能か?
基本的に可能。著作権保護機能が効いたデータでないかぎり、基本的にどちらのOSに移しても再生は可能。
ただし再生アプリによる。一部マニアックなフォーマットだと、Androidでは再生ができ、iPhoneではアプリが対応していない可能性は否めないが、一般的に流通しているデータならば大丈夫。
意外と知られていないのが、ALAC(Apple Lossless エンコード)もAndroidでロスレス再生が可能なこと。オニオン座管理人もiTunesで自宅のCDを大量リッピングしたがこれをそのままAndroidやデジタルオーディオプレーヤーで使用している。
★参考記事★
低価格高音質の超コスパ高いDAP「パイオニアPrivate XDP-20」のレビューを、XDP-30Rとの違いを交えてご紹介するよ
https://www.onion-za.jp/dap-review_pioneer-xdp-20/
スマホ・タブレットのオーディオ関連FAQ<Bluetooth編>
Apple AirPods Proなどアップル純正BluetoothイヤホンはAndroidスマホで使えるの?
使える。細かい設定やアップル特有機能はAndroidスマホでできないことがあるが、普通に音楽視聴や通話、ノイズキャンセラON/OFFは可能。
ただし、Apple AirPodsシリーズのBluetoothコーデックはAACとなるため、LDACなどに対応しているBluetoothイヤホンを使用した方が音質は向上する。
古いiPhoneやAndroidスマホでもBluetoothイヤホンは使えるの?
使える。受信側のBluetooth機器(イヤホンなど)は基本的に下位互換性がある。
Bluetooth5.0対応イヤホンと、Bluetooth4.0対応Androidスマホで無線接続しようとした場合、
イヤホンはBluetooth4.0にて動作する。低い方に合わせるかたち。
Bluetooth5.0とBluetooth4.0で音質や機能は違うの?
ほとんど変わらない。音楽のBluetooth通信では対したデータ量(帯域)を消費しないことから、イヤホン程度で使うならどちらでも変わらない。また経験上、Bluetooth5.0の方が切れにくいということもあまりない(気持ち程度あるかな。。くらい)。
Bluetoothの音がブチブチ切れる原因
Bluetoothが使う周波数帯は2.4GHzだが、Wi-FiのIEEE 802.11b/g/n/axや、電子レンジやIHクッキングヒーターの発する周波数も同じ2.4GHzを使用する。Bluetoothは長時間使えるよう出力が弱い仕様なので、どうしてもWi-Fiや電磁波を発する調理器具との電波と干渉する。これはもう仕方ないことなのでできれば以下の方法を取るほかはない。
1.Wi-Fiルータの2.4GHz帯を無効にする。
2.電子レンジから離れた場所で利用する。
3.なるべく発信側(スマホ)と受信側(イヤホンレシーバやスピーカーなど)を近づける
ちなみにBluetoothがよく切れる場合、受信側よりも発信側に原因があることが多い。
まとめ
意外と分かるようで分からない、スマホで音楽を聴くにあたっての不明点などをいくつか挙げてみましたがいかがでしたしょうか。
iPhone・iPad・Androidスマホで多少の違いはありますが、それぞれの特徴を分かった上で使えるようにすれば、より音楽や動画を楽しむことができると思います。
今後も追加をしていきますので、気になる方はブックマークいただければ幸いです。
最後までご覧下さり誠にありがとうございました。