Logicool MX ERGOワイヤレストラックボールの充電池を交換したので修理方法をレビューするよ
かれこれ数年間、ロジクールのMX ERGO(エムエックス エルゴ)MXTB1sという無線トラックボールマウスを複数台購入して愛用していますが、そのうちの1台がバッテリー劣化により充電できなくなりました。
本来、保証期間は過ぎているので有償修理となりますが、全交換となるため修理費用は高額なことはわかっていたので、アマゾンで内蔵バッテリーを購入して自分で交換してみました。特に難しいものではなかったのでその方法や手順をご紹介します。トラックボールに限らず、MX MASTER3など高級マウスでも充電池式が増えてますので参考にしてください。
※機器の分解修理を行うとメーカーの保証やサポートを受けられなくなります。自己責任でお願いします。その他、何かのトラブルがあってもオニオン座は責任を負いません。
※【追記(2024/5/6)】バッテリー交換作業から2年が経ちましたが全く問題なく使えています。耐久性もバッチリでした。
Logicool MX ERGOが充電出来なくなったけどメーカー修理はしない
結論を先にいうと、MX ERGOのバッテリーは自分で交換することができました。トルクスネジが開けられるドライバー(軸はなるべく細いやつ)とプラスドライバー(メガネ調整用くらい小さいやつ)、サードパーティーの交換用バッテリーを用意しまして、交換作業を成功しました。
トラックボールマウスの良さは、「場所を取らない」「手や腕が楽になり、肩こりが減る」と思います。在宅勤務テレワークにもありがたいです。絵を書くのはもしかしたらマウスのほうがいいかもしれませんが、絵心もなく絵を書く機会がないので、メリットしかありません。
しばらくトラックボールマウスから離れてましたが、ヨドバシカメラで出会ったロジクールのM570t(現行品名:M575)に惚れて購入しました。以前使っていたケンジントンでは指のほぼ全てを使うのですが、M570tは親指だけでトラックボールを操作するという違いがありますが、その方が楽だったのです。似たようなエレコムや数社のトラックボールも試しましたが、M570tが使いやすかったのです。
その後、M570tの上位機種に相当するMX ERGO MXTB1sの方が「ボールの摩擦感覚や本体の感触が最高」「傾き角度が優れている」「MacでもWindowsでも使え、かつ切り替えボタンで即時に2台のパソコンで使える」「Unifying USB-Aのドングルの他、Bluetoothでも使える」ことを知って乗り換えました。従来のUSBドングル(無線アダプタ)を使わなくても、USB Type-CポートしかないMacbook ProなどでBluetoothにて使えるのも便利です。
それからMX ERGO MXTB1sを会社と自宅に1台ずつは常備しています。そんなエルゴさんの唯一の弱点は、ゲーミングマウスでもないのに1万円を超える価格設定でした。正直高いのですが実際に肩こりも楽になったし机も広く使えるなどメリットが勝ってました。入力デバイスは仕事のストレスも減らしてくれました。
しかしある日、会社で使っていたMX ERGOが充電しなくなりました。どういう症状かというと、充電用USBケーブルを刺しても反応がなく、その状態で電源をオフオンするとパイロットLEDランプが一瞬だけ赤く点灯してすぐ消えてしまう状態でした。予備で持っていたM570tと交換してしのいできましたが、やっぱMX ERGOを職場でも使いたい。
新しく買うのも高価だし、修理代も高いだろうし、と悩みつつアマゾンを徘徊していたら交換用バッテリーが売られていることを見つけました。しかしネットで調べても、MX ERGO MXTB1sのケース分解方法はあるものの、バッテリー交換方法は見つかりませんでした。そうだよね、こんなニッチなネタ、ブロガーは書きたがらないよね。それならオニオン座がやってやろうじゃないかと人柱覚悟でチャレンジしてみました。
Logicool MX ERGOの内蔵バッテリー交換手順
MX ERGOの内蔵バッテリー交換方法は、早い話、ネジで本体を開けてバッテリーを交換するだけなのですが、最低限必要なものから紹介します。
・内蔵バッテリー
・トルクスネジが開けられるドライバー
・プラスドライバー(細め。めがね調整用レベル)
これだけです。それでは実際に手順を追って御紹介します。
まず、内蔵電池がぶっこわれたMX ERGOが左側です。真上から撮影していますが、右は傾斜をつけた状態です。
MX ERGOは使用感が抜群であり、最大の特徴は下の土台が20度傾斜する仕組みです。てかさ、こんなギミック使わないでそのまま20度傾けたやつ作ってくれたら少しは安上がりなんでしょうけどね。
で、マグネットでシーソー状に可動する金属土台を外すと底面がこのようになります。使用感が強くてすみません。
手元にあったマルチドライバーがこいつ。マルチドライバーセットは、ホームセンターだと高いのでネットで買うことをオススメします。てかこいつではちょっと欠点あったのですが、それはおってご紹介します。
今回使うのはトルクスネジというMacbookの修理などでも使うような、星型六角形の特殊ネジ穴になります。トルクスの一番小さいやつをドライバーにはめます。
合計6つのトルクスネジを外します。隠しネジはないのですが、マイルドな失敗談が一つ。うち2箇所のトルクスネジの穴がやたら深くて、マルチドライバーがギリギリ入らない件。今回使ったようなドライバーでは穴を強引にやや削りながら開けるしかありませんでした。
まあ自分用だし削っても意外と目立たないのでいいのですが、傷をつけたくない人はこのへんが必要です。
全てのネジを外して隙間に爪を入れながら開けていくと、結構簡単に本体を開けることができます。
せっかくなのでMX ERGOの内部を簡単に見ていきます。下の方に大きく鎮座するのが3.7V/550mAhの充電式リチウムイオンポリマー電池です。深セン製です。中が汚れていますが後ほどダストブロアーで清掃しました。
横から見るとこう。フラットケーブルが長めなので作業が意外と楽です。
上の方にスクロールホイールがあります。ホイールの左右にはオムロンのチルト用スイッチが実装されています。
ついでに軽く清掃したいと思います。発光部やホイールの隙間は意外と汚れが溜まっていませんでしたが、念のためエアダスターをシュー。こんなときのためにエアダスターは一家に3本は必要です(当社比)。
MX ERGOのケース分解ができたので、交換するバッテリーを用意します。アマゾンで買ったのがこちら。商品ページには「MX ERGOM-RO052対応」とありますが、MX ERGOM-RO062でも使えました。あとはMX Master3(MX2200sGR) Master2s(MX2100sGR) Anywhere2(MX1500sGR) Anywhere2S(MX1600sGR)あたりとも互換性があるとのこと。詳細はリンク先でご確認ください。
ちなみに余談ですが、MX ERGOの発売元は、Logitech(ロジテック)というスイスの会社です。でも日本ではLogicool(ロジクール)というブランド名でやってます。その理由は、以前からロジテック株式会社という別会社(現エレコムの子会社)があるため、商標の問題から日本と一部国地域ではLogicool(ロジクール)ブランドにしています。へー。
つまりブランド表記が異なっていてもモノは一緒なので、こういった交換用パーツもそのようにして探します。で、アマゾンダンボールから出すと交換用バッテリーはかわいいクッション封筒に入っていました。
開けてみると、バッテリー本体と、ケーブル加工時に使用するヒートパイプ?(熱収縮性の絶縁スリーブ?)が入ってます。もしコネクタが合わない、極性が逆などの場合はそれぞれを切ってつなげてヒートパイプ?をかぶせてドライヤーで締めますが、今回は必要ありませんでした。
それでは内蔵バッテリー交換を始めるのですが、バッテリーがバッテリーケースにガッチリ接着されていてはがせません。いったんケースの土台ごとネジを外します。こちらは極小のプラスドライバーが必要です。
バッテリーケースを外すことができました。バッテリーと基盤をつなぐコネクターが硬いので、ケースを外してから電源コネクターを抜いたほうがよさそうです。
バッテリー本体はエキポシなのかウレタンなのか、かなり固く接着されています。この手のバッテリーに傷をつけると事故になりますから、丁寧に剥がしていきます。先端が平で薄いものがあると便利です。私は先端があまり尖っていないレターオープナーを使いました。
ようやくバッテリー本体をケースから剥がすことが出来ました。
特に意味も無く、新旧バッテリーを並べてみます。ぶっちゃけ、今回買った社外品のほうが作りが良さそうです。
裏側はこう。古い純正バッテリーの方はなんだかふにゃふにゃしてます。妊娠してるのでしょうか(バッテリー劣化によりガスが出て膨らむことを、スマホ業界用語で妊娠と言います)。
新しいバッテリーをケース土台に貼り付けます。土台がまだ粘着力を保っていたので適当な接着剤で少し補強しました。
あとは土台ごとMX ERGOに戻します。外すときとは逆で、電源ケーブルを刺してから土台を戻すとやりやすいです。ちなみにケーブルの向きが分かりにくいですが、赤いケーブルが右側、黒いケーブルが左側にくるようにします。
MX ERGOのケースをネジ止めする前に、電源スイッチを入れて通電していることを確認します。問題なく緑色のパイロットランプが点灯するようなら通電OKです。MX ERGO本体をネジ止めして終わりです。これで愛用のエルゴさんが生き返りました!
おまけネタ MX ERGOの本体がベタベタする「加水分解」現象の理由と治す方法
MX ERGOなど高品質な入力デバイスでは、心地よい感触のために手のひら部分にウレタンゴムを使用しています。触れ心地はいいのですが、その反面、ウレタン系の素材は、空気中の水分と結合して変質する「加水分解」が発生します
これがベタベタの原因です。加水分解は適宜使っているときは問題なくても、湿度の高めの場所で長期間放置すると発生する場合があります。ちなみにこの加水分解はノートパソコンやスニーカー、腕時計のバンドなどでも起こります。
この加水分解でベトベトになってしまったら、解消方法は表面の変質した部分を除去する方法しかありません。軽度ならキッチンハイターなどを塗布して布でこすり取る。重度なら「激落ちくん」などのスポンジを濡らしてこそぎ取ることとなります。
いずれの方法でも、上手に研磨機をかけるなどしないかぎり見た目は元通りにはなりません。以前、表面がベタベタの訳あり中古パソコンを激落ちくんで治したものがこちらです。こうならないよう管理するといいですね。
<画像準備中>
まとめ
マウスやトラックボールの中では高価な部類となる、ロジクールのMX ERGOがバッテリー劣化により使えなくなってしまったので、内蔵バッテリーを交換してみました。
内蔵バッテリーの交換に必要なものは、交換用内臓バッテリーと、ドライバーセット(トルクネジを外せるドライバー必須)だけでした。
ネジ穴を削ってもいいならそのへんのマルチドライバー、削りたくなければ精密機器修理用のトルクスドライバーを購入したほうが良さそうです。
また、内蔵バッテリーを土台から剥がすのに、丈夫なヘラ状のものがあると便利です。先端が尖ったもので作業すると大変危険ですのでくれぐれも十分注意してください。
自己流ながらパソコン修理は何度もしてきましたが、トラックボールの修理は今回初めてで緊張しました。事前に情報がほぼなかったからです。でも出費としては2,000円しませんでしたし、やってみたらバッテリーを剥がすところ以外はあっけない感じでした。耐久性は分かりませんが何かあればレポートします。
※【追記(2024/5/6)】バッテリー交換作業から2年が経ちましたが全く問題なく使えています。耐久性もバッチリでした。
それでは本日ご紹介したアイテムをふり返ります。交換に使用した内蔵バッテリーがこちらです。互換品ですがコネクタもそのまま刺さり問題ありませんでした。
そしてオニオン座が修理してでも使い続けたいと愛用しているMX ERGOはこちら。もし使ったことがない人は是非試して欲しい。
以上、最後までご覧下さり誠にありがとうございました。ブログ「オニオン座」がお届けしました。