自宅・社内ネットワークが遅い原因と解決方法はWi-Fiルータにあった(有線LAN・Wi-Fi高速化方法)

せっかく1Gbpsのフレッツ光回線を引いたのにインターネットの速度が遅い。いつの間にか家庭内・社内ネットワークが遅くなったとお困りの方にオススメの記事です。なるべく初心者にも分かるようご紹介します。

弊社はそれなりの企業規模なのに情報システム部がないので、素人さんが好き放題にネットワークをいじっていました。その影響でネットの速度がもの凄く遅い拠点があったりします。これをいくつか高速に変えていった私の実経験を元に、ネットが遅くなる原因と解決方法をお伝えします。

目次

自宅・社内ネットワークが遅い原因と解決方法はWi-Fiルータにあった(有線LAN・Wi-Fi高速化方法)

ネットが遅くなる原因は、Wi-Fiルータ(Wi-Fi AP)の設定が間違っているから

いきなり結論から言ってしまいます。Wi-Fiルータ(Wi-Fi AP)をデタラメに設置すると、インターネットや社内・自宅内ネットワークが遅くなります。

その証拠に、まずはこちらの写真をご覧頂きます。これ、私が改善する前の弊社某拠点のWi-Fiスピードです。もうね、ビックリするくらい遅い。

下りが1.78Mbpsということはバイト計算で178KB/s以下ですから、今どき10MBを受信するのに1分もかかるレベルです。質の悪いADSL回線並みです。

有線LANではこんな感じ。ぜんぜん使えないってほどではないけど、業務用の単体ルータYAMAHA RTX1210を使って、法人向け光回線でこれですからけっこう悲劇的です。応答速度を示すPINGも、普通は数十msのところ300ms近くと遅すぎます。

先日、これら悲惨なネットワーク環境の弊社某拠点のネット回線の速度を、私はノーコストで5〜10倍に早くすることに成功しました。何の資料も情報もない中でしたが、これまでも似たような事例があったから解決できたわけです。私が入社する前の本社ネットワークも酷い有様でしたが、たいしてコストをかけずに改善に成功しています。そのへんを今回はご説明していきます。

繰り返し言ってしまうと、ネットが遅くなるのは「ネットワークに間違った設定でWi-Fiルータをつなげている」が最も影響が大きい理由でした。他にもいくつかありますけど、こいつを解決するのが一番効果的でした。

別にある程度分かっている人なら勝手にWi-Fiを設置してもいいのですが、家庭用Wi-Fiルータに付属しているクイックマニュアルだけを見て、社内ネットワークにつなげてしまう方が多いようです。何が間違っていたのでしょうか。

Wi-Fiルータの主な接続機能

そもそもWi-Fiルータの主な設定についてふれていきます。市販の家庭用Wi-Fiルータには、「ルータモード」「ブリッジモード」「中継器モード」の3つがあることが多いです。これ、最も重要です。

ルータとは、プロバイダからもらったIDPW情報を入力することでインターネットに接続してくれる機械(又は機能)です。一般的なWi-Fiルータには、無線LANを実現する「Wi-Fi機能と、インターネットに接続する「ルータ機能の両方を備えています。これら両方を実行するのが「ルータモードで、ほとんどのご家庭や、一部の中小企業はこのルータモードで使用しているはずです。初期設定をルータモードとしているからです。

一方、単体ルータが別にあって、Wi-Fi機能だけが欲しい場合は「ブリッジモード」にします。こうするとWi-Fiルータは、Wi-Fiアクセスポイント(略して Wi-Fi AP)になります。ブリッジ=橋ということで、単体ルータからのインターネット通信を無線でパソコン等に届ける橋になるのが「ブリッジモード」です。「APモード」と呼ぶ場合もあります。

ちなみに弊社では、単体ルータはヤマハのRTXシリーズに揃えています。830、1210、3500と規模に応じて使用していますが、小規模拠点向けのRTX830でも安定性抜群です。変動IP回線でもVPNが無料で張れるし、信頼性も高く超有能です。

中小企業でも職場などには業者さんが設置した単体ルータがある場合、それに無線LANを追加したいときにWi-Fiルータを「ブリッジモード」で使用しなければなりません。ちなみに、TP-LINKなど海外メーカーのWi-Fiルータにはこのモードがなく、必要な設定を手動で行うことでブリッジモード同等にすることがあります。

最後に中継器モード」は、Wi-Fi電波をより遠くに飛ばしたい場合に使用します。別のWi-Fi(親機)の電波を、中継器モードにしたWi-Fiルータが受けて、同じSSIDの電波をバケツリレーのように中継して飛ばしてくれるものです。広いオフィスや、家庭でも2階3階にWi-Fiを飛ばしたいときに使用します。似たもので「メッシュルータ」なんてものがありますが、これは中継器の発展版となります。本題からずれるのでどう発展しているかは割愛しますが、Wi-Fi6(ax)に対応したこのへんが売れているようです。

ここからは具体的に述べていきますが、前提としては「100Mbps以上のネット光回線を使っている」「Wi-Fiルータとは別に単体ルータを使っている」になります。

 

原因①単体ルータがネット接続しているのに、Wi-Fiルータをルータモードで使っていた

弊社本社のネットワークが遅いので調べたところ、単体ルータとWi-Fiルータが、同じプロバイダのアカウントIDPWでネット接続するよう設定されていたことがありました。

単体ルータにプロバイダ情報を入れてインターネット接続しています。なのに、その下流に設置されているWi-Fiルータに同じプロバイダ情報を入れてルータモードで起動していた、というものです。

少し詳しい人からすれば「んなアホな」と思う方もおられるかもしれませんが、私が入社した本社で実際に起きていたことです。

当たり前ですが、プロバイダから付与されたアカウント(IDPW)でネット接続できるのは原則一台のルータです。単体ルータがネット接続できているのに、下流のWi-Fiルータが同じアカウントでネット接続しようとしていたのです。

当然、Wi-Fiルータのネット接続は認証エラーで繋がりませんが、接続をずっと何回も繰り返し試みます。これにより、社内ネットワークには高負荷がかかりネットワークが低速になっていた、というものでした。

原因②単体ルータとは異なったIPアドレス範囲でWi-Fi APが起動していた

実は今回最も言いたいのがこれ。弊社本社で、ルータが配布するIPアドレスと、Wi-Fi APが配布するIPアドレスの範囲が異なる設定がされていた、です。

例えば、単体ルータが192.168.10.xxxなのに、Wi-Fi APは192.168.0.xxxで、かつ両方ともDHCPサーバ機能がオンになっていた、というものです。本来、Wi-Fi APはDHCPサーバ機能をオフにしなければならないのに、です。

何が間違っているか分からない方が多いと思いますので少し補足しますね。

一般的には、ルータが192.168.xxx.1〜192.168.xxx.254のIPアドレスを、下流に接続する全てのパソコンやスマホ、Wi-Fi APなどの機器に自動的に割り振ります。こうしてIPアドレスを自動振り分けするのをDHCPサーバ機能と言います。このおかげで、わざわざパソコンやスマホなどに一台ずつ手動でIPアドレスを設定しなくてもすむのです。

これを踏まえ、同じネットワーク内に192.168.10.xxxと192.168.0.xxxが混ざってしまってはいけない理由を例え話してみます。

IPアドレスを「住所とマンションのお部屋」でイメージします。192.168.1.200なら、192丁目168番地1号マンションの200号室とします。家庭や中小企業のネットワークなら後ろから2つが重要で「1号マンション200号室」に着目します。社内・家庭ネットワークはひとつのマンションとイメージします。

ルータ君(1号1号室にある)は、1号マンションの2〜254号室までにデータを配達します。

ところが、Wi-Fi AP君は、ルータ君の許可無く、1号マンション内において勝手に「100号マンションのxxx号室」宛てに通信を届けようとします。「おいおい、こっちは1号マンションだよ」「いや、ここも違うよ」と配達ミスが生じまくります。そりゃ届きませんわ。建物が違うのですから。

社内・家庭ネットワークはひとつのマンションですから「号室」が何であっても問題なし。でも「○号マンション」が異なるともはや違うマンションを意味しますから、ネットワークが混乱します。こうするとネットワーク内が混雑したり無駄なパケットが行き交いすることで、ルータやWi-Fi APに高負荷がかかり、社内・家庭ネットワークやネット接続が遅くなります。

ではどうしたらいいか。単体ルータが192.168.100.1だと、192.168.100.2〜254が使えますので、Wi-Fi APは192.168.100.250などに設定し、かつWi-Fi APのDHCPサーバ機能はオフにすれば良いのです。(厳密にはDHCP範囲を192.168.100.2〜249にして、192.168.100.250〜192.168.100.254はDHCP範囲から外します)

こうすると、単体ルータの割り振るIPアドレスのなかでWi-Fi APが正常に動作できるので、ネットワークに過負荷がかかる可能性が下がります。

つまり、ひとつの拠点ネットワークには、DHCPサーバ機能を発揮する機器は1台だけでよく、それはインターネットの出入り口であるルータだけに備わっていればいい、ということです。※あくまでシンプルなケースですが。

設定手順を書くと以下の通りです。作業自体は5〜10分で完了します。私が愛用するNEC Atermシリーズの設定方法ですが、他社製もだいたいこんな感じです。

0.単体ルータのIPアドレス範囲を調べる。Windowsならコマンドプロンプトから「ipconfig /all」と入力エンターで表示される。
1.Wi-Fiルータの管理画面を開く。PCでもスマホでもOK
2.Wi-FiルータのIPアドレスを設定する(上記例なら192.168.100.250)。
3.Wi-Fiルータのデフォルトゲートウェイを設定する(上記例なら192.168.100.1)
4.Wi-FiルータのDNS設定を「自動取得」にする
5.Wi-FiルータのDHCPサーバ機能を「無効(またはOFF)」にする
6.Wi-Fiルータを再起動後、LANケーブルを刺す

Wi-Fiルータ(APモード状態)の管理画面を開くのにアプリが必要になりますが、もっと簡単な方法もあります。専門的な言葉で言うと、Wi-Fi APをDHCPクライアントで使用する方法です。

0.単体ルータのIPアドレス範囲を調べる。Windowsならコマンドプロンプトから「ipconfig /all」と入力エンターで表示される。
1.クイックマニュアルに沿って管理画面を開く。PCでもスマホでもOK
2.Wi-FiルータのIPアドレスを「自動取得」に設定する。
3.Wi-Fiルータを再起動後、LANケーブルを刺す

二つ目の方法は、IPアドレスをブラウザに入力してWi-Fiルータの管理画面を開くのが難しくなるデメリットがあります。なにしろIPアドレスが自動的に割り当てられますので、ちゃんとした管理もしずらくなります。なので私はこの方法は余り使いませんが、自宅のネットワークならギリでアリかと思います。

その他、家庭・社内ネットワークが遅くなる原因と解決方法

・10/100Mbpsなスイッチングハブを使用している。
→【背景・理由】たぶん昔導入した古いハブをそのまま使っているのでしょうね。
→→【どうなるか】実際の転送速度が10MB/sと、ギガハブの10分の1に速度が落ちます。
→→→【解決方法】旧世代のハブは捨てましょう。1000Mbps対応のいわゆるギガハブに買い換えます。

・古いLANケーブルを使用している。ケーブルにカテゴリー5(Category5)と書かれている。
→【背景・理由】たぶん昔導入した古いケーブルをそのまま使っているのでしょうね。
→→【どうなるか】実際の転送速度が10MB/sと、近年のLANケーブルの10分の1に速度が落ちます。
→→→【解決方法】全て捨てましょう。少なくともカテゴリ5eに替えてください。予算あれば6とか6AでもOK。7でもいいけど、8は高いだけだから不要。

・接続デバイス数が多すぎる。
→【背景・理由】家電量販店で買える市販Wi-Fiルータは最上位機種でも20〜30台ほどで不調が起きる。会社で使用するとPCとスマホ・タブレットを含めれば意外と簡単に上限台数を超える。
→→【どうなるか】転送速度が不安定になったり、再起動しないと接続できないような端末が生じる。
→→→【解決方法】業務用Wi-Fi APに入れ替えるか、Wi-Fi APを増やすなどしてください。

まとめ

弊社の複数拠点にてネットワーク速度を改善してきた経験より、その原因と解決方法をご紹介しました。

特に中小企業で「別にパソコンに詳しくないのに、無線LAN使えるようにしろって上司から言われちゃった(汗」とお困りの方のお役に立てれば何よりです。

社内にシステム開発やWEB制作が出来る人がいたとしても、こうしたネットワークインフラはおざなりになることが多いと思います。

しかし「パソコン詳しいんだからできるでしょ」なんて責めてもダメですよ。なぜなら知識と経験のジャンルが異なるからです。クルマの運転がプロ級でも、クルマの修理がプロ級とは限らない。ましてやクルマの塗装のプロとも限らないからです。だから、社内に情報システム部があったとしても意外とネットワークインフラは分からなかったり、そもそも情報システム部がない中小企業もたくさんあります。弊社もそうですが。

となると、ちょっとパソコンに詳しいレベルの人が「無線LAN付けてよ」というリクエストに応えて、適当にWi-Fiルータを設置してみたり、配線をしてみたりしたけど、その人はだいぶ前に退職しちゃってもうカオス、というケースが多いのではないでしょうか。弊社がそうでした。

それでは本日ご紹介したアイテムをふり返ります。民生機だけでも数十台は扱ってきた私がオススメできる、仕事で使える家庭用Wi-Fiルータといえば、やはりNEC Atermシリーズ。このへんを買っておけば間違いありません。バッファロやプラネックスは身近に買えますが、ブツブツ切れたりろくな事がないので、個人的にはできるだけ避けてます。

50台以上の端末がWi-Fi接続するような環境であれば、このへんの高コスパな業務用Wi-Fi APがオススメです。別途、単体ルータが必要です。

接続デバイス数が100台程度の中小企業なら、業務用単体ルータはYAMAHA RTXが一択です。WEB GUI管理画面があるので、コンフィグ設定も簡単です。

SOHOや小規模拠点(接続デバイス数が50台程度)、またガチった個人ユーザーの単体ルータは、同じくYAMAHA RTXのエントリー機がオススメです。固定IP回線でなくてもIPSecで無料VPNが使えますから、格安で外から自宅のサーバへアクセスできます。

 

以上、ブログ「オニオン座」がお届けしました。最後までご覧下さり誠にありがとうございました。

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