【レビュー】サブウーファーEdifier T5と小型スピーカーを組み合わせてみた結果

サブウーファーなんて、大音量で映画を観るような人でなければ要らないんじゃない?

たしかに家電量販店に行っても、AVアンプやシアタースピーカーセットの売り場に展示されていて、サブウーファーは映画館のような低音を聞かせてくれる。

しかし、最近ではデスクトップオーディオの低音補強を目的に、地味に売れているのをご存じだろうか。2万円前後でも良質な小型パワードスピーカーが買えるが、どうしても低音が出ない低音を補うためだ。

だが、サブウーファーと言えば、爆音で聴くためと勘違いしている人がまだまだ多いと思う。

ここで先日、実際にサブウーファーを選び、購入した筆者は提唱したい。

小さな音で楽しみたい人ほど、サブウーファーを買え!」なのである。

なぜそこまで断言できるか、少し説明させてほしい。

目次

音楽用サブウーファーとしてEdifier T5を購入した理由

Edifier T5の主要スペック

筆者は迷いに迷って、Edifier T5というパワードサブウーファーを購入した。主要スペックは次の通りとなる。

Edifier T5 主要スペック

定格出力(RMS) 70W
ドライバーユニット 8インチ
再生周波数帯域 38Hz-200Hz
有線接続 RCA、3.5mm AUX
外形寸法 33.6奥行き x 27.8幅 x 30高さ cm
重量 13.6kg

そもそもオーディオにあまり興味ない人には「サブウーファー」という名前になじみがないと思う。いったいどんなものか簡単に箇条書きで説明したい。

★「サブウーファー」とは★
サブウーファーとは、大型スピーカーでしか出せないような低音を出力するためのもので、メインスピーカーと併用するものである。
・出力する周波数帯は、概ね30Hz~200Hzあたりの低音域となる。
低音は指向性が弱いため、使用するのは1本だけでよく、センターに置く必要もない
・パワードタイプ(パワーアンプ内蔵)とパッシブタイプ(別にアンプが必要)がある。
・まともなサブウーファーは、8インチ(約20センチ)以上のスピーカーが1本内蔵。少し重く、そして大きい。

以上は、一般的なサブウーファーの共通点である。昔はスーパーウーハーなどと呼ばれていたが結局は同じもののことだ。

ここでご自身が自宅で音楽を聴いている風景をイメージしてほしい。

例えば、在宅勤務や作業場にて、気が散らない程度のボリュームでBGM的に音楽を楽しむ人も多いことだろう。その際には特に高音質にこだわるものではないし、多少の不満に文句を言うものでもないはずだ。

しかし特に小さめのスピーカーを使用している場合「スカスカした音だな「ボーカルと上物(高音楽器)しか聞こえないよね」と感じたことはないだろうか。

こんな小さな不満が、サブウーファーがあるだけで一転するのである。なぜか。

「低音は指向性が弱い」と書いたとおり、スピーカーから発すると低音は(雑に言うと)散らばってしまうのである。さらに言えば、中音・高音はそのまま耳に届きやすいし、そもそも人間の耳は中音・高音を聞き取る能力が高い。

これら傾向はボリュームが小さければ小さいほど顕著となる。そこで薄まってしまい、かつ人間が感じ取りにくい低音をサブウーファーで補強するのは理にかなっているのだ。

これがどれだけ効果があるか、残念ながら言語化できるほど筆者が優秀でないので「実際に使ってみればわかる」としか言えない。しかしサブウーファーによる低音補強で、音楽に「ふくよかさ」が加わり、小さなボリュームであるほどそのメリットが感じられることを知ってほしいと思う。

購入したいサブウーファーの必須条件を整理する

何事も、なんとなく価格と感覚だけで選ぶと失敗する。筆者が考えた今回のサブウーファー選定条件は次の通りだった。

条件1:可変ローパス(ハイカット)フィルターを備えていること【必須】
条件2:概ね2万円以下であること
条件3:極性反転が可能であること

条件1:可変ローパス(ハイカット)フィルターを備えていること【必須】

メインスピーカーが出力可能な低音よりも下の帯域をサブウーファーに担当してもらうのが一般的な使い方である。よってサブウーファーの発する周波数を調整し、メインとサブウーファーの音のつながり(クロスオーバー)を綺麗にしたい。そうすると可変フィルターが必要となる。

AVアンプ等につなぐのであればAVアンプ側でクロスオーバーの設定は可能だ。しかし今回はシンプルなオーディオ機器に接続したい。だからサブウーファー側に可変フィルターが必要なのだ。

条件2:概ね2万円以下であること

超低音まで高音質で聴きたいという主旨ではないことから、エントリー価格帯のものでかまわないと考えたため。1万円以下はどう考えてもオモチャしかないのだ。

条件3:極性反転が可能であること

極性反転は、こだわらなければ不要だが、筆者はほしかった機能。スピーカーは直流で動作するが、このプラスとマイナスを逆にできる機能のことである。

設置場所によりサブウーファーの出力する音の波形がメインスピーカーと逆になってしまう、いわゆる「逆相」状態になってしまった場合、極性反転機能があればすぐに対処できるからだ。

以上、Edifier T5は条件すべてを満たしたのだ。本当は同様に全条件を満たしたソニーSA-WM500がほしかったが、コスパが良すぎたのだろう。あっという間に「爆売れ→売り切れ→生産終了」となった。FOSTEXも類似スペックな製品を出しているが、予算オーバーとなるのでこちらにした。

サブウーファーEdifier T5のレビュー

サブウーファーEdifier T5の外観とインターフェース

わが家に着弾したEdifier T5はまあまあ大きかった。余談だがAmazon箱・輸入時の箱・パッケージと3重の箱に入っていてマトリョーシカを楽しませてもらった。

というわけで箱から出したEdifier T5はこちら。正面のサランネットは外れない。

付属品はケーブル2種、電源ケーブルである。Edifier T5はアンプ内蔵なので、外部からRCAケーブルでつなげばよいのだ。

マニュアルは12カ国語で書かれている。もちろん日本語もあって不便はなかった。

向かって右側にはバフレフポートがある。そのため背面を気にせず壁にぴったり近づけて設置することが可能だ。ただし正面と右側には隙間が必要であることは気にしておきたい。

背面がこちら。ボリュームダイヤル・可変ローパスフィルター(30~160Hz)・極性反転スイッチ・RCAピンの入力と出力がある。つまりパススルーが可能なので、サブウーファー出力のないアンプやレコーダーとも接続が可能だ。逆にスピーカー入力がないのでサブウーファー用アンプを別途持っていても使えない。

本体裏面には、ラバーと樹脂のインシュレーターが四隅に固定済みだ。たしかにインシュレーターがないと下の階に響いてしまうし、音の歯切れも悪くなるからありがたい。

実際に設置してみた。縦横奥行きとも概ね30cmで、ボックスティッシュと並べたがそんな大きくもない。正面もフットプリントもだいたいアナログレコードのジャケットと同じくらいだ。

サブウーファーEdifier T5のサウンドレビュー

まずはセッティングからだ。筆者が使用しているアンプはFosi Audio BT30Dで、サブウーファー出力を装備している。同出力はモノラル(ステレオミックス)なのだが、Edifier T5側の入力はステレオになっていて悩む。ただしEdifier T5はステレオ入力したところで内蔵スピーカーは1本なのだから、気にせずEdifier T5のライン入力左側にのみBT30Dから接続した。

BT30D側のサブウーファーボリュームをいったんゼロにしてから、Edifier T5の電源ケーブルを接続してスイッチを入れ、ボリュームを10時くらいに仮固定する。

次に、いつも聴いているAmazonミュージックを再生しながら、BT30Dのサブウーファー出力を上げ、サブウーファーから低音が出てくるのを確認した。

なるほど。YST-FSW150のように「超重低音&量感たっぷり」ではない。しかし歯切れが悪くないのでリスニングに向いているなと感じた。

逆に映画などで量感たっぷりの低音を楽しみたいなら、ヤマハのサブウーファーがオススメである。詳細は割愛するがA-YSTII方式により他社製とは異質なほどしっかりした低音(サブベース)が出せるからだ。なお可変ローパスフィルターは非搭載なのでAVアンプ側で調整が可能だ。

次に、Edifier T5のローパスフィルターをいったん上限(200Hz)まで上げてから、徐々に下げていく。最初はメインスピーカーと低音が競合していたが徐々になりを潜めて「ふくよかさ」だけをくれるようになる。できるだけこのクロスオーバーは低めに設定した方がよい。

このへんは好みだろうが、筆者としては音楽を聴くだけならサブウーファーは影の大黒柱であり、目立たない方がいいのだ。

調整ができてきたところで、あらためて音楽を聴いてみる。

いいねえ~。低音に厚みがでて、メインスピーカーが大きくなったようだわ
買ってよかった(^_^)v

実は、安い中華DAC&中華アンプには、DALI MENTOR MENUETという良質な小型ブックシェルフスピーカーをつなげている(筆者はスピーカーにはコストをかけたいタイプなのである)。

MENTOR MENUETは艶やかさとほどよい解像度、奥行きと音場に優れた作品だと気に入っているが、やはり低音は弱いし、スペック上も68Hz以下は出ないとされている。また小さな音で聴くといっそう弱い。

ところがだ。Edifier T5を併用したら、MENTOR MENUETが余裕のある低音を奏でているように錯覚するのだ。ボリュームを下げてもふくよかさや安定感は変わらない。

しばしそのまま音楽を楽しんでいたが、試しにEdifier T5のボリュームをゼロに下げてみた。すると当然、本来のMENTOR MENUETらしさを聴かせてくれるのだが、どうにも「味気ない」のである。

これも言語化が難しいのだが、大きなスピーカーでゆったり聴いていたのに突然小さなスピーカーに変わってしまい寂しさすら感じてしまったのだ。これには自分でも驚いた。

ということで、この価格でこのメリットは大満足である一方、申し訳ないがサウンドレビューがしようないのだ。

そもそも低音には音質の善し悪しはなかなか評価が難しいし、サブウーファーに音場も音像もない。代わりに使用感を伝えたい。

サブウーファーEdifier T5の使用感

・音にクセがないのでメインスピーカーと合わせやすいと感じた。
・低音は約40Hzくらいまでしか出ない。より低い低音(30Hz前後)を出したいならヤマハ買った方がいい。
・ボリュームを上げると近所迷惑になるくらいの音量は出る。
・ゴリッゴリの低音よりも若干腰が高いので、やはり音楽向けか。
・余計な余韻はないが歯切れはほどほど。BPM150以上のハイビート曲だと若干ダンゴになりそう。
・ただしインシュレーターを追加したり土台を追加することで、歯切れも改善するかもしれない。
・他社製同様、スイッチ類が裏面にあるので随時調整したい場合は筆者のようにサブウーファー対応のアンプがあった方が便利。

まとめ

メインスピーカーが小型であるため物足りなさを感じていた。だが大型スピーカーに置き換える場所も予算もない。

そこでサブウーファーを追加してみた。サブウーファーは置き場所にも困らず、ちょうどよい程度にメインスピーカーの低音を補強してくれた。買ってよかったと思う。

本来、低音を司るスピーカーユニットにはその駆動力・制動力のために高品質なアンプが必要だ。だから高価なサブウーファーはアンプ部にもコストをかけているのはわかっている。

しかしオーディオにさほどコストをかけられない私たちとしては、あくまでメインスピーカーの隠し味として低価格高コスパなサブウーファーを併用することで、より豊かに音楽を楽しめると思う次第だ。

是非、お手元のゲーミングスピーカーやマルチメディアスピーカーに、こうしたサブウーファーを加えてほしい。

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